家庭菜園をはじめて、8年たった。
始めた当初は、実用書を1冊買って見よう見まねでそれなりに生長したし、それなりに実がついた。
「な〜んだ、野菜育てるって思ったよりカンタン♪」
などと豪語してました。でも今から考えると、それってビギナーズラックみたいなものであって、その時自分はまだ何もちゃんと「育てて」なかったことを後で知る。そこからしばらくは失敗続き。一度トマトの大豊作があったが、良かったのはそれぐらいで、ビミョーな出来が当たり前になっていた。
野菜、毎年継続的に、一定のクオリティでつくることは一筋縄ではいかない。例えそれがベランダであっても。当たり前だが天気は毎年違う。天気が変われば、日の当たる時間、日射の強さ、気温、降雨量、風が変わる。それに応じて集まる虫も変わる。それら全部に野菜の栽培は、とても繊細に反応する。一度うまくいったとしても、絶対どこかのタイミングで「全滅」しちゃってもうイヤになるのだ。ぶっちゃけすべてを網羅したマニュアルはない。小さなトライ&エラーをいくつも繰り返し、学びと経験を積み重ねる必要があるのだ。
というわけで、私が失敗から学んだ大事な教訓を3つここでまとめてみたい。
名付けて「家庭菜園の脱・初心者3箇条」です。
家庭菜園の脱・初心者3ヶ条
- 日当たりを制せよ
- 水やりは予測せよ
- 視覚を養え
日当たりを制せよ
はじめた頃はなんとなく「ここ日当たりよさそうね」てな感じで気軽に決めていた私。でも今では、プランターや鉢を置く場所の日当たりを正確に把握している。
どこに、どの時間帯に、何時間ぐらい、どんな光があたるのかを。
これ、とーーーーーっても大事。当然ながら、季節の移ろいに合わせて日のあたる時間帯や長さも変わっていく。うかうかしていると「いつのまにか日陰になっていた」とか「強い日差しを浴び過ぎていた」なんてことが起こり、気がつけば作物はぐったり。
植物は「光が主食」だと思ってください。その植物はどんな光が主食だろう?
野菜や品種により、「日当たり」を好むのか「半日陰」を好むのかに分けられるのはご存知のとおり。僕の経験上、「日当たり」を好むなら1日数時間、「半日陰」を好むなら1日最低2-3時間は日に当てる必要があります。「日に当てる」とは基本的に直射日光に当てることではあるが、明るい木漏れ日や反射光があたるのであればそれもカウントに入れてOK。苗の頃に日当たりが悪いとだいぶ生長がビハインドになってしまうし、種を発芽させる際も品種により光の当て方が違う。そのために、家のどの場所にどの程度の日があたるかを把握しておくことは基本条件なのだ。
「日当たりを制する」することは、ベランダやテラスなど狭い場所で菜園を楽しむ人にとってはとっての大切な問題。ぜひチェックすべし。
水やりは予測せよ
「土の表面が乾いたら、鉢の下から漏れるぐらい水をたっぷり与える」とは、どこの初心者向け情報にも書いてあるのでもはや耳タコでしょう。でもこの言葉、簡単そうに聞こえるが「土の表面が乾く」タイミングを捕まえるのが案外難しい。状態をちょこちょこ見に行ける環境にいればまだいいが、普段生活している中で「土の表面が乾く」というタイミングに合わせるのが大変なのだ。土が乾くのは季節や生長段階によって全然変わる。マンションなどの床がコンクリートの場合、夏場の日差しは瞬間的に土を干上がらせるし、プランターの土いっぱいに根が張っていればさらに早い。仕事から帰ってプランターを見たら土はカラッカラで萎びてしまっていることが何日も続き、株がボロボロになっていくパターンを私は何度も経験した。
結局大事なのは、機械的にタイミングを合わすことではなく、天候と根の状態を把握・想像して水をあげることなのだ。「土の表面が乾く」というのはあくまでリマインダーに過ぎない。根は、水と養分と空気を必要としている。その3つをバランスよく(決して同じ時間帯にバランスよくなっている必要はない)与えてあげることが大切。植物(根はり)の状態と天気を毎日チェックして、いつ頃水がなくなるだろうと予想し、もし乾く頃に自分がいないのであれば、例えばプランターを日陰に移動するなりプランターをアルミホイルで覆って温度があまり上がらないように工夫する。日当たりを優先したいのであればペットボトルや機械による自動水やりを検討するなどの対策で調整していく必要がある。
視覚を養え
植物の異変は、早く気づかないと失敗する。そのために、日々限られた時間の中で植物のどこを見ればいいかを知っておくのがとっても大切なのだ。
一番の敵はやはり虫である。僕はコリアンダーやシソが全然育たないということが何年か続いた。定植後、大きくなる前になぜか元気がなくなって成長しなくなってしまうのだ。日当たりなのかな?肥料なのかな?なんて思いながら分からずにいた。気づいたのは何年か後。ナメクジだった。ナメクジは夜間に活動するので、昼間にその痕跡を見つけないと存在に気づかない。ナメクジの痕跡とは、通ったあとに残るキラキラとした粘液、葉の上に残る黒く小さなフン。そんな痕跡、家庭菜園をはじめて2〜3年でははっきりいって全然気づけない。
葉の裏には様々な小さな虫やその卵がいるが、小さすぎて目に入らない。生長点の若い芽や葉に虫がつくと生長に致命的な影響を与えるが、そんなところを普段チェックしないし、微妙な葉の色の変化や微妙な徒長具合、土の表面の変化には目もいかない。最初はそういうもの。でも、大きな影響が出た時になってはじめて「何かがおかしい」と気づいても、もう手遅れ。
初心者は「目を養う」ために、はじめのうちは植物を隅から隅まで「見る」ことをおすすめする。少なくとも一週間に一度。最初はすごく時間がかかるけれど、これを2年ぐらいやればだいたい見るべき勘所がわかってきて、スピーディーなトラブルの早期発見能力がぐんぐんと上がっていく。
終わりに
これら3点ができるのが、家庭菜園の初中級者と中上級者の差だと思う。
私は脱・初心者に数年以上かかった。
正直、毎年そんなに必死で育ててる余裕はないですからね。
でも、あらゆる自然のトラブルに気づき、理解し、解決するのが、家庭菜園の楽しみ。ネットを使えば、トラブルの解決法を知るのも簡単な時代です。
ぜひ、やり甲斐のある家庭菜園ライフを楽しみましょう。
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